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時事解説

沢井46品目・高田31品目の販売中止 — 中止された薬の薬価を7年分さかのぼって全数調査した

薬価ラボ編集部読了 約6分
目次

2026年8月7日、沢井製薬が22成分46品目、高田製薬が31品目の販売中止を公表しました。沢井の46品目のうち39品目は「安定供給体制の構築と生産効率の改善を図るため、製品構成を大幅に見直す」ことが理由とされ、経過措置期間の満了は2028年3月末が予定されています。

ニュースとしてはここまでです。ただ「なぜこの46品目だったのか」は、報道からは読み取れません。

そこで薬価ラボのデータベースで、中止対象となった全品目の薬価を2019年10月までさかのぼって追跡しました。結果として見えてきたのは、性格のまったく異なる2つのグループでした。

① まず事実確認:46品目の数え方

沢井製薬の医療関係者向けサイトに掲載された2026年8月7日付の「販売中止のご案内」は24件です。ただしエバスチン錠とエバスチンOD錠、メマンチン塩酸塩錠とメマンチン塩酸塩DSはそれぞれ同一成分なので、成分数で数えると22成分。各案内に含まれる規格をすべて数えると46品目になります。報道の「22成分46品目」と一致します。

高田製薬については、品目数の報じ方が媒体間で分かれています(30品目とするものと31品目とするもの)。同社の医療関係者向けサイトは会員認証が必要で、本稿執筆時点で一次情報として品目リストを確認できていません。以下の分析は、公表リストを確認できた沢井製薬の46品目に限定しています。

② グループ1:7年で半値以下になった品目

2019年10月と2026年4月の薬価を突き合わせると、下落幅の大きい品目が並びます。

品目 2019年10月 2026年4月 変化
ブロナンセリン錠8mg「サワイ」 89.9円 26.1円 ▲71.0%
ドネペジル塩酸塩錠10mg「サワイ」 154.6円 63.0円 ▲59.2%
セチリジン塩酸塩OD錠10mg「サワイ」 39.1円 16.3円 ▲58.3%
ドネペジル塩酸塩錠5mg「サワイ」 88.8円 37.8円 ▲57.4%
アマルエット配合錠1番「サワイ」 24.2円 10.5円 ▲56.6%
エバスチンOD錠10mg 41.8円 20.4円 ▲51.2%
シルニジピン錠20mg 37.5円 18.9円 ▲49.6%
フルボキサミンマレイン酸塩錠75mg「サワイ」 29.2円 17.5円 ▲40.1%
クアゼパム錠20mg 40.2円 26.7円 ▲33.6%
ベタキソロール塩酸塩錠10mg「サワイ」 36.7円 23.9円 ▲34.9%

※エバスチン・シルニジピン・クアゼパムは、この間に銘柄別収載から統一名収載へ移行しています。2026年の価格は統一名収載品の薬価です。

このグループの下落は「実勢価が下がったから」だけでは説明がつきません。薬価ラボの改定カルテで2026年4月改定の理由を判定すると、中止対象のサワイ銘柄26品目のうち12品目が「後発品価格帯集約」によるものでした。

品目 2026年4月改定 判定理由
ドネペジル塩酸塩錠10mg「サワイ」 73.1円 → 63.0円(▲13.8%) 後発品価格帯集約
ドネペジル塩酸塩錠5mg「サワイ」 43.4円 → 37.8円(▲12.9%) 後発品価格帯集約
メマンチン塩酸塩DS2%「サワイ」 104.9円 → 93.2円(▲11.2%) 後発品価格帯集約
セチリジン塩酸塩OD錠5mg「サワイ」 14.5円 → 11.9円(▲17.9%) 通常改定(市場実勢価格改定)

価格帯集約は、同一成分・規格の後発品を価格帯にまとめるルール(薬価算定基準 第3章第7節)です。他社が安値で売れば、自社が値引きしていなくても加重平均に引きずられて薬価が下がる。ドネペジル錠10mgは、2026年4月に▲13.8%の引き下げを受けた4か月後に販売中止が公表されたことになります。

③ グループ2:薬価が「上がった」のに中止された品目

より示唆的なのは、逆方向のグループです。

品目 2019年10月 2026年4月 変化
ニフェジピンカプセル10mg「サワイ」 5.7円 8.3円 +45.6%
プロブコール錠250mg「サワイ」 7.6円 10.8円 +42.1%
フラボキサート塩酸塩錠200mg「サワイ」 7.0円 9.0円 +28.6%
ピレンゼピン塩酸塩錠25mg 5.7円 6.3円 +10.5%
ザルトプロフェン錠80mg 10.1円 10.8円 +6.9%
アテノロール錠50mg 5.9円 6.3円 +6.8%

いずれも最低薬価付近に張り付いた古い品目で、この7年間に薬価は下がるどころか上がっています。不採算品再算定や最低薬価の引き上げによる下支えが働いた結果と考えられます(改定ごとの機序の内訳は各薬品ページの改定カルテで確認できます)。

それでも中止されました。2026年4月改定でも、ニフェジピンカプセル10mgとフラボキサート錠200mgはいずれも「据え置き」判定です。据え置かれた8.3円・9.0円という水準では、作り続ける判断にならなかったということになります。

「不採算なら薬価を上げればよい」という処方箋は、少なくともこの6品目には効かなかった。ここが今回の中止リストのいちばん重い部分だと考えています。

④ 現場が確認すべきこと

薬価ラボでは、成分名で検索すると同一成分・規格の全銘柄の薬価と、各改定でなぜその薬価になったか(改定カルテ)を並べて確認できます。

⑤ 出典

※薬価データは薬価ラボが厚生労働省公表の収載品目リストから独自に集計したものです。改定理由の判定は薬価算定基準の条文に基づく機械判定であり、個別品目の実際の算定根拠と異なる場合があります。高田製薬の品目については一次資料を確認できていないため、本稿では分析対象外としています。

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⚠️ 2026年4月改定値。掲載情報は公式情報と照合のうえご利用ください。次回改定: 2027年4月予定。
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薬価DB 1.2万品目・改定履歴14.5万行/R8薬価算定基準・中医協議事録206回分を参照

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