薬剤詳細の左上にある ⭐ ボタンを押すと登録できます。
登録した薬はここから素早くアクセスできます。
⭐ お気に入りに登録した薬の薬価変更経過措置期限(6ヶ月以内)をお知らせします。
🔴 赤ドットが点灯したら確認してください。
最近見た薬はまだありません
よく見られる: 解熱鎮痛薬 ACE阻害薬 ARB・配合降圧薬 スタチン系 糖尿病薬 PPI・潰瘍薬 抗アレルギー薬 セフェム系 抗悪性腫瘍薬 ステロイド 漢方製剤

薬価ラボ

薬価・後発品比較・改定推移を、ひとつの画面で確認

📦 12,315品目収載・無料

例:アムロジピン(成分名)、ノルバスク(商品名)、1140010F1024(YJコード)

NEW 2026年5月 BS随時収載対応 — トシリズマブBS「MA」など

よく検索される成分
アムロジピンベシル酸塩 ロキソプロフェン メトホルミン塩酸塩 アトルバスタチン エソメプラゾール ランソプラゾール カルベジロール クロピドグレル カナグリフロジン デュラグルチド レナリドミド ドネペジル塩酸塩

📖 薬価政策・インサイト
薬価政策・予測インサイト
薬価がどう決まり、どう変わるのか。改定の仕組み・後発品の根拠・次期改定のシグナルを解説

📋 すべてのカテゴリ

薬価政策

マンジャロが8月1日に25%下がった — 「費用対効果は良好」「価格維持対象」だった薬に何が起きたのか

薬価ラボ編集部読了 約11分
目次

2026年8月1日、2型糖尿病治療薬マンジャロ皮下注(チルゼパチド/日本イーライリリー)の薬価が、全6規格そろって25%引き下げられました。

注目すべきは、この薬が直前まで置かれていた立場です。マンジャロは3年間、薬価が1円も動いていませんでした。そして4か月前の2026年4月改定では新薬創出等加算により価格を維持され、その半年前の費用対効果評価では調整率0%(=薬価を下げる必要なし)と判定されています。

「費用対効果は良好」「価格を維持すべき薬」と評価されてきた品目が、なぜ25%下がったのか。3つの制度が同じ品目の上で交錯した結果を、一次資料と実データから整理します。

① 何がいくら下がったのか

中医協が2026年5月13日に了承し、8月1日から適用されたのは次の内容です。

規格 改定前 改定後 引き下げ率
マンジャロ皮下注2.5mgアテオス 1,924円 1,443円 -25.00%
マンジャロ皮下注5mgアテオス 3,848円 2,886円 -25.00%
マンジャロ皮下注7.5mgアテオス 5,772円 4,329円 -25.00%
マンジャロ皮下注10mgアテオス 7,696円 5,772円 -25.00%
マンジャロ皮下注12.5mgアテオス 9,620円 7,215円 -25.00%
マンジャロ皮下注15mgアテオス 11,544円 8,658円 -25.00%

適用された制度は持続可能性特例価格調整です。2026年度薬価制度改革で名前が変わったもので、従来「市場拡大再算定の特例」と呼ばれていた仕組みにあたります。

該当した要件は中医協資料に明記されています。マンジャロは令和5年3月の収載から10年を経過しておらず、NDBデータ(12月診療分)に基づく検討の結果、年間販売額が1,000億円超1,500億円以下かつ、基準年間販売額の1.5倍以上という要件に該当しました。

薬価改定は年1回(4月)ですが、市場拡大再算定と持続可能性特例価格調整は新薬収載の機会を使って年4回行われます。今回はその1回にあたります。

② 3年間動かなかった薬価

マンジャロ10mgの薬価推移を見ると、今回の引き下げの異質さがわかります。

改定 薬価 薬価ラボの判定
2023年4月 7,696円 (2023年3月15日収載)
2024年4月 7,696円 据え置き
2025年4月 7,696円 据え置き
2026年4月 7,696円 新薬創出等加算による価格維持
2026年8月 5,772円 持続可能性特例価格調整

収載時の算定は類似薬効比較方式(Ⅰ)、比較薬はオゼンピック皮下注2mg、補正加算は有用性加算(Ⅱ)A=10%でした。

そして2026年4月改定では、厚生労働省が公表する別添5-1(薬価維持品目リスト)に掲載され、新薬創出・適応外薬解消等促進加算によって薬価が維持されています。「革新的な新薬として、後発品が出るまで薬価を維持すべき対象」と国が判定した4か月後に、25%引き下げられたことになります。

さらに遡ると、2025年11月には費用対効果評価による価格調整が行われています。結果は調整率0%。ICERは248万円/QALYで、基準の500万円/QALYを下回っており、費用対効果の観点からは薬価を下げる必要がないと判定されました。

③ 3つの制度は、見ているものが違う

一見矛盾するこの流れは、3つの制度がそれぞれ別のものを評価していると理解すると筋が通ります。

制度 何を見るか マンジャロの結果
費用対効果評価 1単位の健康改善にいくらかかるか(ICER) 良好 → 調整0%
新薬創出等加算 革新性・有用性を維持すべきか 対象 → 価格維持
持続可能性特例価格調整 売れた総額が想定をどれだけ超えたか 該当 → -25%

つまり持続可能性特例価格調整は、その薬が良い薬かどうかを問うていません。1剤あたりの費用対効果がどれだけ優れていても、患者数が伸びて年間販売額が一定の水準を超えれば対象になります。医療保険財政の持続可能性を守るための仕組みだからです。

「効率が良い薬ほど広く使われ、広く使われた結果として総額が膨らむ」という構造がある以上、費用対効果の良さと再算定の対象になることは、そもそも両立します。

④ 25%は「下げ止まりのライン」だった

6規格すべてがきれいに-25.00%というのは偶然ではありません。この制度には下げ止まりのラインが決められており、マンジャロはちょうどそこに達していました。

用語の整理:「下限」と「上限」は同じことを指しています
条文は価格を主語にして「これより安くはしない」=下限と書きます。一方、引き下げ率を主語にすると「これ以上は下げない」=上限になります。
たとえば「価格の下限は改定前の75%」と「引き下げは最大25%まで」は、同じルールの言い換えです。本記事では以降、わかりやすさのため「引き下げの上限」で統一します。

令和8年「薬価算定の基準について」(保発0213第3号)は、持続可能性特例価格調整の下げ止まりラインを区分ごとに定めています。マンジャロが該当した「年間販売額1,000億円超1,500億円以下かつ基準年間販売額の1.5倍以上」の区分では、価格は改定前の75%まで、言い換えれば引き下げは最大25%までです。

算式で計算した値がこのラインを超えて下がるものだったため、上限で止められた——それが今回の-25.00%です。

実際、上限で止まるケースは珍しくありません。2026年4月改定で持続可能性特例価格調整を受けた9品目を薬価ラボのデータで見ると、次のように分かれています。

品目 引き下げ率 どちらが適用されたか
エンレスト錠 50mg / 100mg / 200mg -25.0% 上限で止まった
リクシアナ錠・OD錠 15mg / 30mg / 60mg -19.7〜-19.8% 算式の値がそのまま

エンレストは上限、リクシアナは算式の値。同じ制度でも、市場の伸び方によって上限に届くかどうかが分かれます。

⑤ 同じ日に下がったもう1つの薬

8月1日には、もう1品目の薬価も同時に引き下げられました。アムヴトラ皮下注25mgシリンジ(ブトリシランナトリウム/Alnylam Japan)です。

品目 制度 改定前 改定後 引き下げ率
マンジャロ(全6規格) 持続可能性特例価格調整 -25.00%
アムヴトラ皮下注25mgシリンジ 市場拡大再算定 8,006,196円 6,834,558円 -14.63%

アムヴトラは令和7年6月にトランスサイレチン型心アミロイドーシスの効能が追加され、承認から10年未経過で年間販売額350億円超かつ基準年間販売額の2倍以上という要件に該当しました。

引き下げ率が-14.63%という半端な数字なのは、算式で計算した値が上限に届かなかったため、そのまま適用されたからです。マンジャロの-25.00%が上限で止められた値であるのに対し、アムヴトラは計算どおりの値。同じ日に適用された2件で、制度の効き方の違いがそのまま現れています。

⑥ 同じ成分なのに56%の価格差

チルゼパチドには、肥満症を効能とするゼップバウンド皮下注という別ブランドがあります。今回の引き下げの対象はマンジャロのみで、ゼップバウンドは対象になっていません。

その結果、同じ成分・同じ用量で次のような差が生まれました。

10mg製剤 薬価
マンジャロ皮下注10mgアテオス(2型糖尿病) 5,772円
ゼップバウンド皮下注10mgアテオス(肥満症) 8,999円

同一成分・同一用量でありながら、価格差は約56%です。引き下げ前は約17%の差でしたから、今回の再算定で差が3倍以上に広がったことになります。

再算定は銘柄単位で要件該当を判定するため、同じ成分でもブランドが分かれていれば扱いが異なりうる、という構造がここに表れています。

⑦ 次の段は「50%」

引き下げの上限は、販売額の規模に応じて階段状に設定されています。規模が大きいほど、より深く下げられる仕組みです。

年間販売額の要件 価格の下限(条文の表記) 引き下げの上限(言い換え)
1,000億円超 1,500億円以下 + 基準の1.5倍以上 75/100 -25%(今回適用)
1,500億円超 + 基準の1.3倍以上 50/100 -50%
1,500億円超(3,000億円超・基準の10倍以上等の場合) 1/3 約-67%

今回マンジャロが該当したのは最初の段です。条文上は、年間販売額が1,500億円を超える規模になれば、引き下げの上限が50%の区分に移ります。

これは将来の薬価を予測するものではなく、現行の告示にそう書かれているという事実です。制度の設計として、規模が大きくなるほど引き下げの余地も大きくなる構造になっています。

⑧ データの出所

新旧薬価・要件該当性・適用日:中医協 総-4-3「市場拡大再算定及び持続可能性特例価格調整の対象品目について」(第650回・令和8年5月13日)
引き下げの上限・制度の規定:令和8年「薬価算定の基準について」(保発0213第3号・令和8年2月13日)第3章第5節および別表
収載時の算定方式・比較薬・補正加算:中医協総会「新医薬品一覧表」
新薬創出等加算の対象:令和8年度薬価改定 別添5-1(薬価維持品目リスト)
費用対効果評価の結果:国立保健医療科学院(C2H)公表資料
薬価推移:厚生労働省「薬価基準収載品目リスト」

なお中医協資料には、医療機関等における在庫への影響等を踏まえ、再算定薬価の適用には一定の猶予期間を設けると付記されています。実務上の切り替え時期は各医療機関・薬局でご確認ください。

薬価ラボでは今回の8月1日適用分を薬価推移に反映済みです。各薬品ページで、収載時の算定根拠から今回の再算定までの経緯を確認できます。

← インサイト一覧に戻る
📈 薬価推移
薬価推移グラフ
薬剤を選択するとグラフが表示されます
出典: 厚生労働省 薬価基準収載品目一覧
後発品一覧
グラフ 比較 製品名 製造会社 薬価 先発比 添付文書
薬剤を検索して選択してください
📋
薬剤を選択すると改訂履歴が表示されます
📄
薬剤を選択すると添付文書情報が表示されます
🔄
薬剤を選択すると同種同効薬が表示されます
⚠️ 2026年4月改定値。掲載情報は公式情報と照合のうえご利用ください。次回改定: 2027年4月予定。
🤖 AIアシスタント β版
薬価DB 1.2万品目・改定履歴14.5万行/R8薬価算定基準・中医協議事録206回分を参照

薬剤を選択してから質問すると、薬価・後発品情報も参照できます。

🩺 医師監修 | 医療行為・診断・処方に関するアドバイスは提供していません