2番手以降の後発品の薬価はどう決まるか — 「最も安い既収載後発品と同額」ルールと、7品目超で発動する例外
後発品の薬価は「先発品の0.5掛け」とよく言われますが、これはその成分に初めて後発品が収載されるとき(1番手)のルールです。すでに他社の後発品が並んでいる成分に後から参入する場合——つまり2番手、3番手以降の値付けは、別の条文で決まります。
このルールは、現行の令和8年「薬価算定の基準について」(保発0213第3号・令和8年2月13日)第2章第2部に規定されています。本記事では条文の構造に沿って整理します。
① 原則:最も安い既収載後発品と「同額」
組成・剤形区分・規格が同一の後発品がすでに収載されている場合、新しく参入する後発品の薬価は、既収載の後発品のうち薬価が最も低いものを比較薬として、それと同額で算定されます(第2部2(1)イ・類似薬効比較方式(Ⅰ))。
つまり「後から入るほど少しずつ安くなる」のではなく、その時点の最安値ラインに横並びでスタートする仕組みです。既収載の後発品が改定を重ねて下がっていれば、2番手はその下がった価格から始まることになります。
なお、自社(同一の製造販売業者)の類似薬がすでにある場合は、そのうち最も薬価が低いものが比較薬になります。
② 例外:合計品目数が初めて7を超えると「0.4掛け」に切り替わる
内用薬では、新規参入品と既収載品をあわせた品目数が初めて7を超える場合、原則の「同額」ではなく、1番手の例外ルール(先発品の0.4掛け)で算定した額が適用されます(第2部2(1)ロ)。
この扱いは恒久ではなく、既収載の後発品が次の薬価改定を受けるまでの間の経過的なものです。改定が来れば、後述の価格帯集約によって他の後発品と同じ価格帯にまとめられていきます。
ここで「0.5ではなく0.4」なのがポイントです。品目数が多い成分=競争が激しく市場実勢価格が下がりやすい成分とみなされ、収載時点から一段低い価格が適用されます。1番手の収載でも、同時に収載される品目数が7を超える内用薬は同じく0.4掛けです(第2部1イただし書)。
③ バイオ後続品(バイオシミラー)は別の乗率
バイオ後続品の1番手は先発バイオ医薬品の0.7掛け(内用で品目数10超なら0.6掛け)で、臨床試験の充実度に応じて最大10%の加算が付きます(第2部1ロ)。2番手以降の「同額」原則と、品目数超過時の例外は化学合成品と同じ構造ですが、品目数の閾値は7ではなく10です(第2部2(1)ロ)。
④ 同一規格の後発品がない場合は「規格間調整」
参入したい規格(含量)と同一の既収載後発品がなく、規格違いだけが存在する場合は、最類似薬をもとに規格間調整で算定されます(第2部2(2))。このとき比較薬になるのは、一日薬価が最も低いものです。
⑤ 収載後は「価格帯集約」で横並びになっていく
2番手以降として収載された後発品も、その後の薬価改定では他の後発品と一緒に価格帯集約の対象になります。同じ成分・規格の後発品が数本の価格帯にまとめられるため、収載時の値付けの差は改定を経るごとに解消されていきます。この仕組みは 後発品(ジェネリック)の薬価はどう決まるか で解説しています。
⑥ まとめ
- 2番手以降の後発品は、最も薬価が低い既収載後発品と同額で収載される(原則)
- 内用薬で合計品目数が初めて7を超える参入は、先発品の0.4掛けに切り替わる(既収載品の次回改定までの経過措置)
- バイオ後続品は乗率0.7(品目数の閾値は10)+臨床試験充実度で最大10%加算
- 同一規格がなければ規格間調整、収載後は価格帯集約で横並びへ
個別品目が実際にいくらで収載され、その後どう動いたかは、薬価ラボの各薬品ページの価格推移と比較表で確認できます。
※ 本記事は令和8年「薬価算定の基準について」(保発0213第3号・令和8年2月13日)第2章第2部の規定に基づいています。品目数の数え方には「先発品と同一の後発品を除く」等の細かい条件があるため、個別事案は原文をご確認ください。出典: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001667916.pdf